FrontPage

SIPropプロジェクトとは?

SIP系のOSSを、開発するプロジェクトです。
SIPropVer.2.0の完成と雷電の開発開始に合わせて、定義し直されました。

目的

 
「メディア (通信媒体)の世界を広げる」

という目的の元、通信系(主にSIP)のOSSアプリを提案・開発するプロジェクトである。
この目的を果たすために、他プロジェクトと提携し、いろいろなプロダクトを立ち上げている。プロジェクト一覧はこちら

イメージ図:

raiden_base_s.PNG

SIProp が認識する問題とその解決

一般の IP 電話において、SIP は相手を呼び出す機能(シグナリングという)を実現する通信プロトコルとして利用されている。そのため、現状では「SIP は IP 電話のための通信プロトコルである」と誤解されがちである。

しかし、インターネットの通信プロトコル規約である RFC において、SIP の目的は次のように規定されている。

SIP (Session Initiation Protocol) は、インターネットのエンドポイント(ユーザーエージェントと呼ばれる)が
お互いを発見し、共有を望むセッションの特性に合意することを可能にすることで、これらのプロトコルと
協調して動作する。セッションの参加者と見込まれるものの場所を特定するため、および他の機能のために、
SIPは、ユーザーエージェントが登録リクエストやセッションへの招待およびその他のリクエストを送ることが
できる、ネットワークホスト(プロキシサーバーと呼ばれる)のインフラを生成することを可能にする。
SIPは、下位のトランスポートプロトコルから独立し、確立されるセッションのタイプに依存せずに動作する、
セッションを生成・修正・終了するためのしなやかで多目的なツールである。

すなわち、SIPは
「(IP電話を含む)様々なネットワーク・アプリケーションのためにセッションの管理を行う、汎用セッション・プロトコル」
なのである。

 

本来、汎用セッション・プロトコルであるはずの SIP が、IP 電話に付随する通信プロトコルとして語られることが多いのは、IP 電話が SIP が提供するセッション管理機能を必要とする最もメジャーなアプリケーションであり、他に SIP を必要とするアプリケーションが見つからないことに原因がある。

さらに、近年の通信事業各社によるNGNやFMCと呼ばれる試みは、「シグナリング・プロトコルとしての SIP」を推し進めるものであり、SIP の本来の「汎用セッション・プロトコルとしてのSIP」という設計意図からの乖離を生み出している。

このような状況により SIP は、大きなジレンマを抱え込むことを意味している。「汎用セッション・プロトコルとしての SIP」では、特定のアプリケーションに依存しない汎用セッション・プロトコルとしての地位を保ち続けるべきであるが、「シグナリング・プロトコルとしての SIP」では、通信事業者のシステムも含めたシグナリングに必要な機能が拡充が求められるからである。

 

そこで、SIPropプロジェクト は、 SIP が抱えるジレンマをより望ましい形で解決する方策を見出す議論をするためのコミュニティとして、さまざまな活動を行っている。

そのアプローチは概ね2つの方向性に整理することができる。

  1. シグナリング・プロトコルとしての SIP の拡張
    独自の追加規格が乱立している現状を抜本的に解決するためには、通信事業に利害を持たない中立の立場からの提案が有効である。
    既に SIPropプロジェクト は、通信事業者間の SIP による通信の相互接続性を確保を目標に規格提案や実装提供を行っている。
  2. 汎用セッション・プロトコルとしての SIP の拡張
    SIP の汎用セッション・プロトコルとしての特性を堅持するためには、さまざまアプリケーションでのセッション管理の方策を検討し、共通のセッション管理機能を見出して規格化する必要がある。
    SIPropプロジェクト では IP 電話以外の SIP アプリケーションの提案も行う。

以上の2つのアプローチは垂直方向と水平方向の全く異なるベクトルを持っているが、実は相互に密接な関係を持つ。

例えば (1) でIP 電話のために開発された実装の一部は、(2) の新たなアプリケーションの獲得に役立つかもしれない。また逆に (2) の新たなアプリケーション獲得のために考えられた規格は、(1) の相互接続のための設計・実装のヒントになるかもしれない。

 

上記のバイ・ディレクション・アプローチは、SIP の問題解決には有効であり、ひいては目的である「メディア (通信媒体)の世界を広げる」につながると SIPropプロジェクト は考えており、実践している。

参考資料

  • SIPropプロジェクト解説
  • VoIPと他の世界との橋渡しをするために
    • SIerさん向けの資料
      SIのオプションとしてのVoIPとは?という視点で書いた提案資料
      そういう提案書の書かなければならないときに参考になれば。。。

プロジェクト一覧

プロジェクト分類

シグナリング・プロトコルとしての SIP の拡張を考えたプロジェクト

  • SIPropVer.2.0
    • 世界的に問題となっているVoIP相互接続問題を解決
      • 相互接続されることにより、インターネット上のSIP網の形成される
  • HOTARUプロジェクト
    • SIPropと同様にSIP網の形成(トップダウン方式)
      • 誰も利用できる、クライアント側のSIPミドルウェアとなる
  • SIP IX
    • SIPropの目的であるSIP網の形成を目指したプロジェクト
      • SIPパケットのルーティングをするための網となる

汎用セッション・プロトコルとしての SIP の拡張を考えたプロジェクト

  • 俺流プロトコル実装入門
    • Web系技術者など普段プロトコルなどを意識する必要のない人に、プロトコルやセッションに興味を持ってもらうため
      • 「汎用セッション・プロトコルとしての SIP」の新しい使い方が提案されることを期待している
  • 雷電
    • クライアント間マッシュアップ用UA Servletアプリケーションサーバ
      • SIPやHTTPなどセッションやトランスポートに依存せずに、アプリケーションを書く基盤を作る
  • P2P SIPの実装検討プロジェクト
    • P2P世界にSIPを適用したらどうなるか?を模索するプロジェクト
      • 「汎用セッション・プロトコルとしての SIP」の新しい定義を作成する

プロジェクト推進団体

本家プロジェクト

共同プロジェクト

提携プロジェクト

名前の由来

  • 読み:しっぷろっぷ
  • 意味:SIP と Interop(Interoperability、相互接続性)の造語
  • ロゴマーク:
    Logo_SIProp.jpg